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遺言と贈与契約書の違い

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遺言書とは、自身が亡くなる前に、死後の遺産の分配方法などを記しておく書面の事です(⇒遺言の種類と有効性)。遺言には法的効力があり、その人が亡くなった後は遺言の内容に則って、遺産分配などが行われます。

一方で、遺言とは別に贈与契約書という仕組みもあります。贈与契約書も財産を譲り渡す事を記した書面であり、相続の方法の一つですが、いくつかの点で遺言と違いがあります。

遺言と贈与契約書の最も大きな違いとして、遺言は贈与者の一方的な意思表示ですが、贈与契約書は贈与者と受贈者の双方の合意があるという点です。要するに、ビジネス上の契約書などと同じ扱いとなります。

遺言には法的効力があるものの、相続人全員が話し合って合意が得られた場合、遺言とは違った相続内容を執行する事も認められています。一方、贈与契約書は双方が合意する事で作成される書面です。お互いが譲る意思・受け取る意思を明示しているので、確実に契約内容が執行されるという特徴があり、遺言と違って反故にする事は出来ません。つまり、贈与契約書は遺言よりも実行力の強い制度という事です。

また、贈与契約書は遺言よりも書き方のルールが緩いという違いもあります。遺言は必ず自筆で書くことが義務づけられてますし、日付や印鑑(押印)を忘れると無効になります。それに対し、贈与契約書は本人が書いたという証明さえ出来れば、パソコンで書くデジタル文書でもOKですし、日付や印鑑も不要です(トラブル回避には日付の記入や押印をした方がベストです)。

本人が書いた事を確実に証明したければ、贈与契約書を公証役場で作成して「公正証書」にすれば、法的に保証されるので絶対確実です。この概念は公正証書遺言と同じです。

遺言と贈与契約書の違いまとめ
・遺言は一方的な意思表示、贈与契約書は双方の合意
・贈与契約書は遺言よりも実行力が強い
・遺言と違い、日付の記入や印鑑は不要

余談ですが、この書き方のルールの違いによって、遺言として無効になったが贈与契約書として認められたという事例もあるようです。そのケースでは、被相続人が押印を忘れていたため遺言書としては無効となったが、相続人が遺言書の証人として署名していたため、お互い内容に合意していたとみなされ、贈与契約書として成立したという事なようです。

とはいえ、遺言が無効になった場合に必ずしも贈与契約書と扱われるわけではなく、あくまでも特殊な例に過ぎません。遺言が無効になる事例を参考に、書き方に十分注意すべきです。

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