親や夫が亡くなったら行う手続き
世帯主が死去したら、家族が行わねばならない手続きが沢山あります。

お墓を生前に購入するメリット

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お墓は亡くなった後に遺骨を埋葬する場所です。しかし、お墓は死後に遺族が購入するよりも、本人が生前に購入しておく方が、相続税が減らせるメリットがあります。

お墓は法律上「祭祀財産(さいしざいさん)」として扱われ、相続税の対象外になります(他にも位牌、仏壇、神棚など、先祖を祀るために必要な物が祭祀財産になります)。よって、どうせ新しくお墓を買うことが決まっているなら、生前から買う方が節税できるのです。

仮に、夫(被相続人)が5000万円相当の財産を所有しており、それを妻一人が相続(子供なし)するケースを考えてみます。お墓の購入費用は200万円とします。

夫が亡くなってからお墓を購入する場合、遺産の5000万円に相続税がかかります。詳しい計算方法は下記の通りですが、この場合の相続税は160万円なので、妻は残りの4840万円を相続する事になります。そこからお墓の購入費用200万円を引くと、最終的に妻の手元に残るお金は4640万円となります。

<相続税の計算方法>
課税遺産総額×課税価格
・課税遺産総額=相続財産-基礎控除
・基礎控除:3000万円+600万円×法定相続人数=3600万円
上記のケースだと・・・
 課税遺産総額:5000万円-3600万円=1400万円
 課税価格:課税遺産総額が1000万円〜3000万円の場合は15%(控除50万円)
ゆえに相続税=1400万円×15%-50万円=160万円

一方、夫が生前のうちにお墓を購入しておく場合を考えます。前述の通り、お墓は祭祀財産なので相続税はかかりません。よって、生前にお墓を購入しておくと200万円分の財産が減り、妻への遺産は4800万円となります。4800万円の相続税は130万円なので、最終的に妻が相続する金額は4670万円です。

つまり上記のケースの場合、夫が亡くなる前にお墓を購入しておくと、最終的に妻が得るお金が30万円多くなるメリットが生まれる訳です。お墓を建てる事が決定事項であるなら、被相続人が生前から自分で購入しておいた方が、相続税が節税できるので遺族が得するのです。

注意点は、維持管理費が掛かる事、公営霊園は生前購入できない事

加えて近年は、全国的に墓不足が社会問題になっています。そのため、新たにお墓を購入する場合は、空いている墓地を探すのに何年も掛かる事もあります。こうした面倒な作業を、故人が生前に自分で済ませてくれれば、遺族にとって大きなメリットがあります。

近年、遺族の負担を減らすために、生きている間に葬儀や相続についての準備をしておく終活が広まっています。こうして生前にお墓を購入する事も、終活の一環と言えるでしょう。

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ただし注意すべき点は、お墓の費用が非課税になるのは、生前に現金で購入した物だけです。お墓をローンで買うと、返済が残っていれば相続人が債務を引き継ぐ事になるからです。お墓の購入金額は平均で200万円近くかかりますが、相続税を少なく抑えたいならば、お墓は「生前に」「現金一括で」購入しておくのがベストです。

他の注意点として、お墓は納骨していない場合でも、お寺へ支払う維持・管理費が必要な事です。そのため、あまり早期にお墓を購入するのは好ましくありません。また公営霊園は、遺骨がないと墓地の購入(契約)が不可能なので、生前からお墓を建てられない所が多い点にも、注意すべきです。

お墓を生前に購入するメリットまとめ
・生前にお墓を購入しておくと相続税の対象にならない
・本人がお墓を探す「終活」は、遺族の負担が軽減される
・公営霊園では生前購入が不可能なこと、等には注意

ちなみに、生前にお墓を建てる事を寿陵(じゅりょう)と言います。寿陵は長寿が約束されるという言い伝えがあり、縁起が良いとされています。まあ実際には、法曹業界が金儲けのためにでっち上げた言い伝えに過ぎないでしょうけど・・・。

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