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遺言代用信託のメリットと有効な使い方

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遺言代用信託とは、信託銀行が請け負う金融サービスの一つです。簡単に言うと、ある人が亡くなった後、その銀行の信託口座へ預けていた財産を、生前に指定しておいた人が引き出せるようになるという制度です。似た名前の制度として遺言信託もありますが、これは遺言の手続きを援助する事を主にしたサービスであり、ここで言う遺言代用信託とは内容が全く異なります。

遺言代用信託のメリットの一つが、亡くなったすぐ後すぐにお金を引き出せる点です。人の死後はお葬式や火葬や遺品整理など色々とお金が掛かります。しかし、銀行は相続でのトラブルを避けるため、預金者が亡くなると一時的に口座を凍結して、遺族が勝手にお金を引き出せないようにします。このため、お葬式の費用を工面するのが困難になるケースは少なくありません。

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そんな場合でも、遺言代用信託として預けたお金は銀行口座の凍結対象外となるので、すぐに預金を引き出して、お葬式などの費用に充てられるのです。このように、即座にトラブルなくお金を利用できることが、遺言代用信託の使い方の一つです。

相続人に素早くお金を渡せるという点では、遺言代用信託は生命保険と似ていますが、いくつかの違いがあります。生命保険は相続税の非課税枠がある事、相続での遺留分(詳細は後述)に影響されない事などが特長です。一方で、生命保険の契約はどの金融機関でも最大85歳程度で打ち切られますが、遺言代用信託には年齢制限がないので、どんな高齢者でも利用できます。また健康状態の制限も無いので、入院中の寝たきり老人でも利用できるメリットもあります。

他に、遺言代用信託の有効な使い方としては、特定の相続人に確実にお金を渡せるという点です。通常の相続では、たとえ遺言を残していても、遺産の分配で揉めるケースは少なくありません。それに対し遺言代用信託は、相続とは別にお金のやりとりをする仕組みなので、遺族が異議を唱えても影響されません(ただし後述する「遺留分」は異議も可能)。

また受取人を2世代先まで指定出来るのも、通常の「遺言」にはない遺言代用信託のメリットです。一度にお金をあげたらすぐ使い切ってしまうのではないかと心配な場合は、年金のように毎月一定額ずつお金を渡すという指定も可能です。

料金(手数料)が高額なので富裕層でないと利用は難しい

ただし、相続では遺留分という、相続人が最低限相続出来る財産を保障する法律があります。これは、本来法定相続人として得られる財産の半分が対象です。

例えば、2000万円の財産を持つ夫が亡くなって、妻と子供二人が相続する場合を考えます。法定相続分に則ると、妻が1000万円、子供がそれぞれ500万円ずつ得る事になります。遺留分はこの半分を保障するので、つまり夫が遺言で愛人に全財産を渡すと指定していた場合でも、妻は500万円、子供は250万円ずつ受け取る権利があります。遺言代用信託でも、この遺留分の権利は無くならない事には注意が必要です。

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そして使い方以前の問題として、コストの高さがあります。遺言代用信託の料金はどの金融機関でも、基本手数料や遺言執行者の報酬など合計で100万円以上かかります。このように料金が高額なので、事実上は富裕層の家庭以外には利用できない事がデメリットだと言えます。

遺言代用信託のメリットと有効な使い方まとめ
・亡くなった後すぐに財産を引き出せる
・指定した相続人に確実にお金を渡せるメリットもある
・生命保険と違い、年齢制限が無く、健康状態も問われない
・料金が100万円以上かかるので事実上、富裕層限定のサービス

なお遺言代用信託は、財産に関する事しか受け付けていません。例えば、子どもの認知など財産に関係ない部分には対応出来ません。また実際に財産を受け取った際の、相続税の申告などはサポートしてくれない点にも、注意が必要です。

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