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いらない不動産を「捨てる」方法

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昔の日本では、土地の価格は必ず値上がりするという、不動産神話が信じられていました。ですが少子高齢化で人口減少が始まった現在、ニーズの薄い田舎の家や郊外のマンションなどは、売却したくても買い手が現れないという状況です。不動産は所有しているだけで固定資産税がかかりますし、マンションだと月々の管理費も必要なので、いらない不動産は一刻も早く手放したい所です。

しかし不動産には「名義」があり、法律で所有者が定められているので、いくら不要でも勝手に捨てる事は出来ません。名義のあるものでも、例えば自動車なら「廃車」が可能ですが、不動産は別の人間に名義を換えるしか無く、基本的には捨てるとか廃棄する事が出来ないのです。売れない上に捨てれない深刻さを自虐した「負動産」という俗語も生まれる位です。

では、要らない・使わない「負動産」を手放すにはどうすれば良いでしょうか。不動産を処分する方法は、主に以下の3つがあります。

1.タダ同然の値段で売却する
2.自治体に寄付をする
3.相続放棄して無理やり捨ててしまう

いらない不動産を処分する方法の一つが、利益を諦めて、不動産業者に言い値で引き取ってもらう事です。日本の人口は減少していく事がほぼ100%間違いなく、一方で新築物件も年々増えているので、現時点で買い手がつかない「負動産」は、いくら待っても買い手が現れない可能性が高いです。しかも建物は言うに及ばす、土地の価格も年々下落していくため、不要な不動産は捨て値でも早めに売却する方が有効です。タダ同然の安値なら、買い手のアテがなくとも不動産業者が自前で引き取ってくれる可能性もあるからです。

他には、不動産を自治体に寄付する方法もあります。自治体によっては、新規の道路開通を計画していたり、公共施設を新設する場所を探しているようなケースがあります。そのような場合、不動産の寄贈を喜んで受理してくれる事もあります。

ただし、使い道がない田舎や僻地の土地だと、受け取りを拒否される可能性が高いです。固定資産税は市町村税なので、自治体にとって貴重な財源の一つです。自治体にとって不動産の寄付を受ける事は、固定資産税の減少に繋がります。それに加え、土地を管理する手間やコストが増えるため、結果的には自治体にとってマイナスが大きいからです。

相続放棄の注意点〜生前贈与を活用すべき

「いらない(使わない)」にも関わらず「売れない」「寄付も出来ない」という3重苦を抱えた不動産を処分する、最後の手段が相続放棄によって捨てる事です。通常は捨てられない不動産ですが、唯一の例外がこの相続放棄という方法です。相続放棄とは、親族が亡くなった際に、本来得られるはずの遺産を一切相続しないと宣言する事です。

相続放棄すれば、いらない不動産を相続せずに済みますが、注意すべき点も多いです。

まず、相続放棄は相続する前にしか行えません。一度相続をした不動産を、後から「要らない」と言う事は出来ません。また、相続放棄は一部の財産だけを受け取らない事は出来ません。例えば、不動産以外に現金や宝石類の遺産があった場合、不動産だけを拒否して現金や宝石は相続する、といった事は認められません。相続放棄は、全ての権利を捨てる「諸刃の剣」なのです。

ゆえに現金など必要な遺産がある場合は、あらかじめ生前贈与を使うなどして、親族間で計画的に財産を移しておく必要があります。しかも生前贈与・相続税対策は、税理士でも詳しくない人の方が多数派なので、任せる専門家選びにも注意が必要です。

このように、いらない・売れない不動産を捨てるには、通常の手段ではない方法を使うので、注意点も多いです。しかしそれでも、不要な不動産を持っていても固定資産税を垂れ流すだけなので、少々手間やコストが掛かっても、出来る限り早く処分する事が重要です。特に田舎で築年数の古いボロ屋など、まず売れないので、相続放棄で捨てる事をベースに考えるべきでしょう。

いらない不動産を「捨てる」方法まとめ
・「負動産」は安値でも良いから不動産業者に売却する
・自治体に寄付する(受け取ってもらえないケースも多い)
・例外的に、不動産を相続する前ならば、相続放棄によって捨てられる

なお、法定相続人全員が相続放棄して不動産の相続人がいなくなった場合、固定資産税の支払い義務はなくなりますが、土地の管理責任までは放棄出来ない事にも注意が必要です。所有者のない不動産は国庫に帰属する事になっていますが、必ず誰かが管理者になる事が義務付けられています。新たに不動産の管理人を選任するには、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申し立てを行う必要がありますが、それが決まるまでは、相続人が不動産の管理責任を負います。

つまり、建物が老朽化していた場合は、倒壊を防ぐための補強費用などの支払い義務があるという事です。相続財産管理人の申し立てには予納金が必要で、相場は30万円〜100万円程度です。

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