親や夫が亡くなったら行う手続き
世帯主が死去したら、家族が行わねばならない手続きが沢山あります。

故人の飼っていたペットはどう処分すればよいか?

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一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2017年の全国の犬の飼育頭数は約890万頭、猫は約950万頭、合計でおよそ1840万頭と推計されています。一方、総務省の2017年のデータでは、子供(15歳未満)の数は1571万人との事です。

つまり現在の日本では、子供の数よりもペットとして飼われている犬と猫の数の方が多いという事です。しかも、ペットは犬や猫だけでなく、インコや九官鳥などの鳥類、鯉や金魚などの魚類、カメやイグアナなどの爬虫類まで多種多様に増えており、何らかのペットを飼っている日本人の割合は30〜40%に上ると推計されています。

当然ながら、ペットを飼う高齢者も増加傾向です。ペットの世話をする事で認知症の予防効果が期待できますし、一緒に散歩に行く事で運動不足の解消にもなります。特に高齢者が一人暮らしだと、ペットを飼うことは心身の健康にプラスに働くので、好ましいことだと言えます。

しかし同時に、飼い主が亡くなってペットだけが残される・・・という悲しいケースも増えています。遺族が故人に代わって飼い続けるなら問題ありませんが、賃貸マンションに住んでいる場合や動物アレルギーなどの理由でペットを引き取れない事も多いでしょう。このような場合、残されたペット達はどうすればよいでしょうか?

ペットの処分方法として、保健所に引き取ってもらおうとする人は多いですが、実はこの考えは間違いです。保健所は、狂犬病などの被害が拡大しないように、あくまでも地域住民の健康と安全を目的にとした施設であり、飼えなくなったペットを処分するための施設では無いのです。そもそも、保健所に収容されたペットは殺処分=長生きできない訳で、先立った故人にとって最も望まない形でしょう。

お金をかけないペットの処分方法としては、まずは身近に引き取ってくれる人を探す事です。親戚や友人、近所の人に相談して、飼ってもよいという人に引き取ってもらえれば理想的です。

どうしても見つからない場合は、インターネットで里親を募集するという方法もあります。ペットの受け渡しを斡旋しているサイトもあるので、こうしたサービスを利用するのも有効です。ただし、ネットで募集をしてもすぐに引き取り手が現れるとは限らないので、故人が亡くなってから里親の募集を掛けても遅くなります。可能であれば、生前の内に引き取り手を探し始めておくべきです。

もらい手が見つからない場合には、動物愛護団体に譲渡する方法も考えられます。動物愛護団体は、引き取った動物の世話をしながら、新しい里親を探してくれます。しかもボランティア団体なので、引き取りも基本的に無料で行われています。但し、あくまでも善意で行われている事なので、動物愛護団体を頼るのは最終手段と考えるべきです。

お金があれば、ペットを生涯面倒見るサービスもある

もし、故人がペットのために遺産を残していて、処分にお金を使えるのであれば、選択肢は色々と広がります。中でも代表的なのが、老犬ホーム(老猫ホーム)を利用するという方法です。老犬ホームは人間の「老人ホーム」のペット版であり、家で飼い続ける事が難しくなった犬や猫の面倒を見てくれるという施設です。数ヶ月の期間限定で預けられるコースから、終身で面倒を見てもらえるコースまで、様々なタイプがあります。

一例として、茨城県つくば市の「老犬ホーム ひまわり」の場合、8s未満の小型犬の終身タイプの費用は86万4000円(入所金10万円が必要)となっています。このように、老犬ホームは100万円前後のお金が掛かるので、遺族が単独で取るには厳しいですが、故人がペットのためにと遺産を残していたのであれば、その望みを叶えてあげる事は最大の供養になるでしょう。

他にも、ペット信託という制度も近年生まれています。ペット信託とは、飼い主がペットの飼育費用を負担する事で、新たな飼い主が代わって面倒を見てくれるという仕組みです。「信託」は遺言にも似ていますが、色々と違う点もあります。

遺言で相続人に対して「費用は出すのでペットの面倒を見てほしい」と記したとしても、遺言の内容は実効性に保証がないため、お金だけ取られてペットの世話がおざなりになる可能性があります。その点、信託の場合は弁護士や行政書士などが信託監督人となって受託者の飼育状況を監視してもらえるので、確実に世話が行われる仕組みなので、飼い主にとっては安心できる制度といえます。また遺言の内容は死後にしか実行されませんが、信託は生前か死後かに関わらず実行されるというメリットもあります。

故人の飼っていたペットはどう処分すればよいか?まとめ
・親族やご近所さん、あるいはネットで新たな飼い主を探す
・お金があれば、老犬ホームやペット信託という方法もある
・動物愛護団体を頼るのが最後の手段

なお、上記は基本的に犬や猫の処分方法であり、他のペットの場合は別の手段を考える必要があります。例えば小鳥やカメなどの小動物は、ペットショップや体感型の動物園などで引き取ってくれる場合があるので、問い合わせてみるべきです。

なお、は虫類や小動物は「そのまま野生に返しても大丈夫では?」と思うかも知れませんが、それは止めておくべきです。例えば亀の場合、池や川に放された外来種のカメが、在来種を駆逐したり他の動物の生態系を破壊する事が問題になっています(ブラックバス等と同じ状況です)。なので小動物などを、知識もないのにそのまま自然に返すのは、基本的に厳禁です。

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