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不動産を相続する手順と注意点

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亡くなった人の財産を遺族が引き継ぐ事を遺産相続と言います。相続出来る遺産は現金だけではなく、株式や骨董品などのあらゆる資産が対象です。中でも不動産(住宅や土地)の相続については、金額も大きいうえに名義変更の手続きも複雑です。以下では、不動産を相続する際の手順と、注意すべき点について解説します。

不動産を相続する手順

1.遺産分割協議〜相続人全員で誰の名義にするかを話し合う

不動産を相続する手順として、まずは相続人全員で不動産を誰の名義にするかを話し合います。このように、相続人全員で遺産の分割方法を決める事を遺産分割協議と呼びます。

話し合いは全員が一堂に会する必要はなく、電話や手紙でやりとりをする事も可能です。また、一人が提案した内容に全員が合意するといった方法でもOKです。

但し、後述するように不動産を複数人での共有名義にすると、メリットは無い上にトラブルの火種になる可能性大なので、絶対に行ってはいけません。遺産分割協議では、まずこの事を相続人全員に徹底周知させる事が重要です。

2.遺産分割協議書の作成

次の手順は、遺産分割協議で話し合われた内容を遺産分割協議書という書面に記しておく事です。遺産分割協議書の書き方は厳格に定められてはいませんが、相続人全員で協議した事の明示と、不動産については登記事項証明書を書き写しておく事がポイントです。注意点としては、全員が署名・押印をしておく事が必要不可欠です。

不動産は現金とは違い、相続人で等分するのは難しいです。ゆえに不動産の分割方法は、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4種類のどれかになります。

現物分割は、財産を相続分に応じて分割する方法です。例えば、兄弟二人が相続人だった場合、不動産を兄が相続して、同等額の預貯金を弟が相続するといった形です。

代償分割は、一人で不動産全てを相続し、その相続した人が相応の金額を残りの相続人に支払う方法です。仮に、預貯金の遺産はなく、1000万円相当の不動産だけを兄弟二人で相続する事になった場合、兄が不動産を全て相続するかわりに、自身で資産を工面して500万円を弟に支払うという手順を踏む事で、兄弟共に500万円を相続したのと同じ状況になります。

換価分割は、不動産を売却して現金化する事で、相続人で等分出来るようにする方法です。一番平等な方法に見えますが、不動産は買い手が見つからないと売れない(流動性が低い)ので時間が掛かる事や、売却の手数料が高額な事など、デメリットも多いので注意が必要です。なお、田舎の不動産を売りたい際には、地元で最も有力な不動産会社を頼るべきです。中小の業者だとスケールメリットが無いため、買い手が見つかるまで時間が掛かるからです。

売却を仲介する不動産会社に対して、最大で【売却価格×3%+6万円+消費税】のコスト(仲介手数料)が掛かります。例えば3千万円で家が売れると、100万円近い手数料を取られる訳です。

共有分割は、相続人がそれぞれ持分を決めて共有で不動産を所有する方法です。ただし、将来的にその相続人が亡くなった場合は、更に相続人が増える事になります。上記の通り、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なので、改めて不動産の相続人を決めようとした場合に、対象者が増えるほどトラブルが起きやすいので、絶対にお勧めできない方法です。

不動産の名義変更を行う方法

3.相続登記〜不動産の名義変更を行う

そして不動産を相続する際は、相続登記をする事が望ましいです。相続登記とは、法務局で登記名義を被相続人から相続人へ名義変更する事です。相続登記に期限はなく、実は行わなくても特に罰則はありません。固定資産税の請求が故人宛に来ますが、それを誰かが支払っていれば問題になりません。

ただし、故人名義のままでは不動産を売却出来ませんし、不動産を担保にお金を借りる事も出来ません。また、相続登記を行わないまま相続人が亡くなると、ネズミ算式に相続人が増えて後々トラブルになりやすいデメリットも生まれるので、注意すべきです。

相続登記に必要書類は、遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、相続人全員の住民票および印鑑証明書、不動産の固定資産評価証明書、不動産の全部事項証明書など、色々あって非常に面倒です。更に、法務局に納める登録免許税(固定資産評価額合計×0.4%)が必要です。とはいえ名義変更を行わないと、罰則はないものの後々デメリットが大きくなるので、早めに行っておくべきです。

不動産を相続する手順まとめ
・相続人全員で遺産分割協議を行い、相続の方法や割合を決める
・決まった内容は遺産分割協議書に記して、全員が署名押印する
・相続登記(名義変更)は必須ではないが、トラブル回避の為に行うべき

このように、不動産を相続する手順は面倒なうえ相続人全員の合意が必要なので、上手く話がまとまらずにかなり時間がかかる事もあり得ます。こうした手順や制度を予め理解しておく事で、出来るだけ円満かつスムーズに事を進められるように準備しておく事が望ましいです。

なお、不動産や相続人の数が多かったりなど、話がややこしい場合には専門家に依頼する方法もあります。そして不動産の名義変更は、法律上、司法書士のみが代行できる事になっています(税理士や行政書士では不可能)。司法書士に相続登記を依頼する場合、手数料の相場は5万円程度からですが、相続金額に比例して増えていきます。上記のように「ややこしい場合」だと最低でも2〜30万円は必要になると見積もるべきです。

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