親や夫が亡くなったら行う手続き
世帯主が死去したら、家族が行わねばならない手続きが沢山あります。

宝石や骨董品を相続した事は税務署にバレるか?

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親が亡くなって子が財産を受け継ぐ場合、相続税がかかります。相続税の対象となるのは現金だけでなく、不動産や株式、宝石類や骨董品など全ての資産が含まれます。家財道具やテレビなどは無視しても構いませんが(時価はゼロなので)、高価な宝石などはそうもいきません。

不動産や車の所有には「名義」を登録する必要があるので、税務署側が把握する事が容易です。また金地金(インゴッド)や金貨の200万円以上の売買は、2011年以降は支払い調書が義務づけられたので、情報は完璧に税務署が把握されています。一方、宝石類や骨董品には名義は無いので「黙っていてもバレないだろう」と考える人もいるかもしれません。実際の所、税務署は名義のない財産などを把握しているのでしょうか?

まず、貴方が富裕層では無いならば、宝石類や骨董品の相続税は、申告しなくてもバレるリスクはまずありません。税務署は、所得税や相続税などを取り立てるのが仕事ですから、富裕層の申告には神経を尖らせますが、一般庶民や貧困層は仮に申告漏れがあっても追徴課税の金額がわずかなので、無視されるケースがほとんどです。一般庶民の買った「親の形見のネックレス」だとか「結婚記念の指輪」など、せいぜい数十万円で購入した品ですから、時価換算すれば二束三文なので、相続税とは無関係だからです。

そもそも基礎控除枠があるので、一般庶民は相続税の支払いとは無縁です。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されます。例えば、夫が亡くなってその妻と子供2人が財産を相続する場合は、3000万+600万×3人で、4800万円までは相続税がかからない事になります。つまり、亡くなった人がある程度のお金持ちでなければ、相続税を支払う必要はないです。

ただし資産が何億円もあるような富裕層の場合、宝石類なども真面目に申告しておくべきでしょう。税務署は富裕層が脱税しないか、常にマークしています。税務署の操作能力は極めて優秀であり、高価な宝石類や骨董品など購入するような富裕層は、専用のデータベースを作成して資産の全容を概ね把握しているようです。

「相続税の税務調査を完璧に切り抜ける方法(服部誠・著)」によると、税務署は宝石店や骨董品店や百貨店の外商なども調査し、独自に顧客リストを作っています。銀行や証券会社などの金融機関に対しても、文章照会を通じて富裕層の資産実体を概ね把握しています。ですから高価な買い物はバレている可能性が高いのです。

本来、銀行でも骨董品店などでも、個人情報保護法があるので顧客の情報は外部に漏らしませんが、税務署には国税徴収法第141条の「質問及び検査」で認められた権利があります。これは、税務署が財産を調査するための問い合わせに対しては、企業側が顧客情報を教えても守秘義務違反にはならないという法律です。ゆえに、名義のない宝石類や骨董品であっても、購入歴は税務署にバレている可能性が高く、申告漏れがあると税務調査がやってくる羽目に陥ります。

なお庶民と富裕層のボーターラインには諸説あります。一般的には資産1億円以上だと富裕層の仲間入りとされますが、2015年に相続税の対象者が広がった事から分かるように、税務署は相続税の徴税に注力してくる情勢です。1億円に満たなくとも、相続税が発生する(基礎控除額で納まらない)家庭なら、今後は注意した方がよいかも知れません。

宝石類や骨董品の時価換算の問題

宝石類や骨董品を相続する際の注意点は、評価額が時価で算出される事です。仮に、購入時は100万円の価値があった物でも、その後の保管状態が悪くて汚れやキズが目立つ場合は、10万円以下にしかならない事もあり得ます。このような場合、100万円ではなく10万円として相続税を計算するのが正解です。しかし、税務署は美術年鑑などを参考に価値を算出するので、正確な時価よりも高く評価してくる傾向が高いです。

ゆえに、税務署から評価額が安い(納税額が足りない)と指摘された場合は、納税者側が鑑定書を提出し、時価が下がっている事を証明する必要があります。鑑定書は、美術商などに依頼すれば発行してもらえますが、鑑定にかかる料金は1品毎に1〜2万円程度が相場なので、相続した宝石類や骨董品が価値の低い物ばかりだった場合は、鑑定費用でマイナスになる事もあります。

宝石や骨董品の相続は税務署にバレるのか?まとめ
・現金だけでなく、宝石類や骨董品も相続税の対象
・名義のない宝石や骨董品の売買でも、高価なものは税務署は把握している
・但しマークするのは富裕層だけなので、一般庶民は関係ない

もし、税務調査を受け、本来申告すべき納税額よりも少ないと判断された場合は、過少申告加算税と延滞税の罰則があります。過少申告加算税は、本来納めるべき相続税額に加えて、追加で10%(場合によって15%)分が上乗せされるので注意が必要です。もう一方の延滞税は、本来の納付税額×延滞税の割合(約3%)×未納の間の日数÷365日、で計算されます。また、意図的に財産を隠していたと判断された場合には重加算税となり、隠蔽した税額の35%が上乗せされます。更に、脱税として刑事罰を受ける恐れもあり、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金という重い罰則が科せられるので注意すべきです。

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