親や夫が亡くなったら行う手続き
世帯主が死去したら、家族が行わねばならない手続きが沢山あります。

先祖の墓には誰が入れるのか?

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墓石に「鈴木家之墓」や「田中家先祖代々之墓」などと刻まれた家系単位のお墓を「家墓(いえはか)」と呼びます。そして法律上、一つの家墓に入れる人数に決まりはありません。お寺(仏教の宗派)によって決まりもあったりしますが、あくまでも宗教上の制限であり、法的な拘束力はありません。

ただし、多くの寺院墓地では埋葬される家族は永代使用者とその親族に限ると定められています。血縁関係がない人までお墓に入れるようにしてしまうと、収拾がつかなくなって管理が困難になる事が懸念されるためです。とはいえ、墓地と遺族の許可さえあれば、基本的には誰でも同じ墓に入れます。

例えば、山田家(仮)の2人兄弟、一郎と二郎について考えてみます。一般的に、先祖の墓を受け継ぐのは長男です。よって一郎およびその妻と子供は、山田家の先祖代々の家墓に入る事になります。一方、二郎が結婚して家庭を持った場合は、新たに別の場所に山田家の墓を建ててそこで埋葬してもらうのが通例です(分家初代となる)。ただし、二郎が独身のまま亡くなった場合は、山田家の家墓に埋葬する事になります。また、一郎が独身で二郎が結婚していた場合は、二郎が墓を継いで山田家の家墓に入るというのが基本です(一郎も同じ墓に入る)。

お墓の全国平均価格はおよそ200万円です(⇒お墓の平均費用と建てる場所別の割合)。墓を引き継ぐ長男はあまり費用がかからず(墓の年間管理費が1万円程度必要)、次男以降は事実上高いお金を払って墓を買わなければならない事には、理不尽さを感じるでしょう。長男は親の面倒を見るなど負担が大きいので、その見返りだというのが古来よりの風習です。

一方、女性の場合は結婚したら夫の家系の墓に入るのが一般的です。よって、子供が娘しかいない家族の場合は、将来的にお墓の継承者がいなくなる可能性もあります。そんな場合、先祖の遺骨は永代供養にしてもらって墓じまいをする、というのも一つの方法です。

しかし前述の通り、お墓に入れる人は法律で決まっていないので、結婚した女性が元の家のお墓に入る事は何の問題もないです。実際、嫁・姑の関係の悪さなどから、夫の家系の墓に入る事を拒む妻は少なくないようです。夫と同じ墓に入るのが嫌で、仲の良い女性友達同士で同じ墓に入ろうと生前から約束する「墓友(はかとも)」という言葉も生まれているくらいです。

先祖代々の墓に入るという習慣は今後薄れていく!?

なお、墓は行政の許可を受けた場所にしか建てられないと定められているので、自宅に勝手に墓を建てて埋葬するのは厳禁です(死体遺棄罪になる恐れがあります)。しかし一方で、遺骨は必ずどこかのお墓に埋葬せねばならない、という法律もありません。ですから、自宅でずっと保管しておく事も可能ですし、海などに遺骨を蒔く散骨の習慣も広まりつつあります。

近年では、自宅の仏壇に遺骨を納めたり、骨の一部をアクセサリー等に加工して身に着ける手元供養という方法も生まれています。ですから無理して一族の墓に入る必要は無いのです。

先祖代々の墓には誰が入れるのか?まとめ
・先祖代々の「家墓」に入れるのは永代使用者とその親族が基本
・ただし墓地や遺族が許可すれば誰でも入れる
・娘しか居ない家系は墓の継承が途絶える可能性もあるが、女性が嫁いだ後に元の家の墓に入ることも問題ない

現在、日本では墓の不足が社会問題となっていますが、それは上記のような分家の風習が原因かもしれません。特に、寺院墓地は宗教上の縛りがあるので、長男の家系以外が墓に入る事を好まないでしょう。一方、公営霊園はそういったしがらみが薄いので、親族一同の共同墓を作る事を推奨すれば、墓不足の問題も解消出来るのではないでしょうか。

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